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各種事業関連資料

イギリス・イタリアの困窮者の自立の取り組みに学ぶ!

■ ソーシャル・ファームUK
ソーシャル・ファームUK
ソーシャル・ファームUK
 次に訪問したところが、障害者のためのソーシャル・ファームの中間支援機関である「ソーシャル・ファームUK」、UKは「ユナイテッド・キングダム」、イギリスのことです。イギリスのソーシャル・ファームの中間支援機関です。ソーシャル・ファームそのものではなく、支援機関です。行って見ると、日本人の学者が留学で来ていました。もう一回言いますが、ソーシャル・ファームは少なくとも50%は、商品やサービスの売上から得ているということで、50%以上の公的支援を受けることはできません。それから寄付も大きく、イギリスは行政(の補助)より寄付が大きいのです。それから、イギリスには、ヨーロッパには欧州社会銀行とか、ヨーロッパ全体の銀行がありまして、これが社会的活動を応援しています。従業員の25%は障害者のある人でなければならない。
ソーシャル・ファーム
ソーシャル・ファーム
 3 つのコンセプトがあり、「エンタープライズ」「エンプロイメント」「エンパワーメント」を掲げています。はじめに企業を作り、障害者を雇い、障害者問題に取り組む、力をつける、あるいは障害者と共に生きる社会を作る、こういう3つのコンセプトを持ってやっています。「ソーシャル・ファームUK」は、 1999年に出来て、300人以上のメンバーがいて、仕事は発展促進・支援、状態改善、実態調査、リソース・センターの維持ですから、中間支援機関です。いわば総合福祉人権センターみたいなものですね。「ソーシャル・フランチャイズ」というと、どう表現するといいのでしょうかね。一つの成功事例を作り、それをフランチャイズ化するというやり方ですね。
3つのコンセプト
3つのコンセプト
ソーシャル・ファームUK
ソーシャル・ファームUK
ソーシャル・フランチャイズ
ソーシャル・フランチャイズ
 障害者の仕事を考えるのに3つの道(方法)があるのです。いつも、私はこういう言い方をしていますが、「この町にあって欲しいな」と思うものを仕事にするのです。「この町にあったらいいな」とか、「この町にあって欲しいな」ということを仕事にしないとだめです。パン屋をしたいからパン屋をする?そういうやり方はだめです。時々、指導員がそうしたことをやりたがるときがありますが、それはだめです。この町にあったらいいなということ、だから市民がやって欲しいことを障害者の作業所がやるとか、障害者雇用でやる。こういう発想が一つの方法です。もう一つは「ソーシャル・フランチャイズ」の方法です。どこかで上手くやって、全力を傾けといて、それをフランチャイズ化する。C-STEPで言うと、全会員に呼びかけるよりも、Aという企業で実験しておいて、「こんなんをおたくでもやりません?」とか、初期投資をかなり1回目に使い、次の初期投資をしなくてもよいようにするという意味もあります。マーケッティングとかを、出来るだけ1回目でやってしまうということでしょうね。そういうことが、障害者の仕事作りでは大事ですよということを言います。ここの「ソーシャル・フランチャイズ」?アクアマックスだとか、設計作りとか、これ自身のビジネスの状態は私にはよくわかりませんが、全国展開を試みるくらい成功しているそうです。
 ちなみにCIC(コミュニティー・インタレスト・カンパニー)とは、コミュニティー利益会社です。コミュニティー利益会社って何?ということですが、地域のための会社、そのままです。そういう法律があるのです。法律があって、地域利益会社という法人格を与えられるわけです。つまり法人格がなければ、相手が付き合ってくれません。NPOでもない、株式会社でもない、「なんやねん?」というと「ソーシャル・ファーム」ということですが、「ソーシャル・ファーム」といっても、“勝手に言うてるだけやんか”となるので、法人格はCICということです。障害者を雇うことを通して、地域に貢献する仕事をする。私が言った「こんなんあったらいいな」と思うことを障害者雇用でやるということです。それであれば、市民税を使ってもいいよとみなさん思いませんか。本来、高齢者のための食事サービスなんていうのは、国の制度が今はありますが、もしなかったとすると、やはりこの町にとって大事で、配食サービスは“やるべきやんか”となれば、市民税の一部を使ってもいいのではないか。その時、弁当屋さんに頼むのか、「誰がやるのですか」ということです。それを障害者の作業所が、この値段でこんなふうにやろうというてる、障害者のソーシャル・ファームがやろうとしているけど、皆さんどう思いますかということで、いいじゃないですかとなれば、市民税が2倍使えることになります。市民税を使ってサービスを提供し、そういう人達が生活保護に陥らないようにできれば得になります。
 こういう意味のことで、それを出来る会社と言う意味です。CIC(=地域利益会社、コミュニティー利益会社)という法人格で、これは2004年かな、本当につい最近できて、障害者問題の捉え方がおもしろいなと思いました。そのことによって取引ができるわけです。日本で言うと特例子会社でしょうか。特例子会社が一番近いようですが、ただし、親会社が育てている「特例子会社」というよりは、地域が育てる「特例子会社」です。読売ジャイアンツではなくて「東京ジャイアンツ」みたいな、市民が育てる「特例子会社」と思ったらどうでしょうかね。サッカーがそうですね。企業名が5つも、6つも貼ってあるやつもありますね。市民が育てる、市のJCが育てるみたいな感じの障害者の特例子会社です。
 そこで理論的なことで、「ソーシャル・エンタープライズ」がよくわからなかったのですが、ようやく解りました。市場性が高いか低いか、社会性が高いか低いか、ということで比べて見た場合、できるだけ市場性が高く、しかもできるだけ社会性が高くないといけない。市場性が高く、社会性を高く指向する、ここが一般企業のCSRです。先程の近畿ツーリストのバリアフリー旅行、CSRは社会的貢献、事業体ですから形に表さないと啓発ではだめですね。社会的貢献を形に表さなければいけない。社会志向型企業というと、(株)美交工業になるのでしょうかね。イギリスでいうと、有名なザ・ビッグイシューがありますね。あれも株式会社で、ホームレス雇用のために会社を続ける社会志向型企業です。株式会社ナイスもそうですが、あまり小さすぎて言えませんけれども。
ソーシャル・エンタープライズ
ソーシャル・エンタープライズ
 それから中間組織というのは、中途半端な組織ですが、ソーシャル・ファームとか、後で触れます「媒介的労働市場会社」です。これが事業型NPOで、これが一番大きいです。それから慈善型NPO、これはわかりますよね。その中で、この網かけたところを「ソーシャル・エンタープライズ」と言うのです。だからこれまでソーシャル・エンタープライズいうと、間違って理解していたところがあり、そうではなくて、ここまでです。株式会社というソーシャル・エンタープライズもあれば、CICというソーシャル・エンタープライズもあれば、有限保障会社があります。有限保障会社というのは株を公開してはならないし、同時に投資以上の損益をかぶることがない。ようするに破産しても社員がそれ以上をかぶることはない。そのかわり株を公開しない。こういう有限保障会社、日本でいうとLLPが一番近いですかね。LLPとは、有限責任事業組合で、3人の人達が金を出し合って、一人の人がやるのに出してうまくやる。その代わり今までは 4人で投資会社みたいにして、今までの法律であれば利益を配分しなければならないということでしたが、配分しなくてよいということですね。そうすると3人の人は、例えば、私とA君とBさんが1千万円づつ出し合って、Cさんという人にホームレス支援のための○○会社つくりなさいと。1千万円はいつか返してね ?くらい思っているだけで、儲かっても配当しなくてもいい。儲かった分は、全部佐々木さんが給料ゼロから始めて、給料に替えて、そして次の新聞、次の新聞の再投資に向けなさい。それで、この1千万円は権利として持っているわけですから、いつか返してね、というようにするという意味です。1千万円以上は返さなくてよく、本人がその1千万円を返さなくてよいと言えば、それでいいということです。
ソーシャル・ファーム
ソーシャル・ファーム
 それから、この中間組織の中に今CICという、障害者のための「ソーシャル・ファーム」をいいました。もう一つ「媒介的労働市場会社」と言いました。「媒介的労働市場会社」というのは何かと言うと、職業訓練に変わることがあるのです。つまり、労働市場で起こった失業問題を労働市場の外で訓練しようなどとするのは、そして、それを再び市場に戻して、というのは何をやっているかわからない。効果が薄いということです。例えば、ホームレスでいうと、もの凄くわかりやすい。窓際族においやられ、企業の組織活動がいやになってドロップアウトしてホームレスになった人を、がんばってもう一度会社に戻すということは、“刑務所行け”というのと同じで、無理があるということです。だから訓練と言うものには、非常にそういう響きがある。つまり、いったん失敗した人をもう一度立て直すという意味がある。それは非常に自尊心を傷つけるし、効率的でないということがあって、労働市場そのものでリハビリテーションするべきだという意味ですね。例えば、この町で必要と思われる、あったらいいなと思うような会社を設立し、それを失業者、仕事を求めるニートなどを雇って、そこで訓練する。言葉でいうと、仕事に対するモチベーションを高める。それで何を学ぶかというと、「こんなんがあったらいいな」ということを学ぶことを通して仕事の意味を問う。仕事というのは、世のため人のためよということであり、給料がゼロから始まるくらい、なかなか儲からないということを通して労働の価値を見出す。つまりそんなに簡単に給料って貰えるものじゃないよと、はじめから雇われ根性を直すと、要するに給料ってどんなものなのということを学ぶトレーニングをする。リハビリテーション、全人的復権と言う、やはり違うわけですね。職業訓練では言い尽くせない意味合いがそこにあるということで、横文字で何というのでしょうか。媒介的労働市場会社、そういう名前の会社なんです。日本でいうと、エル・チャレンジが似ていますね。エル・チャレンジは障害者ですが、媒介的労働市場会社は、どちらかというと非障害者です。障害者の方は、「ソーシャル・ファーム」ですから、媒介的労働市場会社は、むしろニートや長期失業者に対する、あるいはスラムの人々に対するやり方ですね。これでスラムの大工さんを集めてやるとか、行ったところは媒介的労働市場会社とは違いましたが、清掃の仕事をするとか、いうことを通して社会の再参入、人間性の復権、関係性の取り戻しということをやっていこうというようなものです。ここに書いてありますが、労働市場において、不利な立場にある人々、長期失業者で、これは内海さんが最初言われていたアイデアに近いのかなと思います。日本でいうと、就職困難者のための「特例子会社」というみたいなものですかね。障害者のための「特例子会社」ではなくて、就職困難者のための「特例子会社」です。それは何かなと言うと、炭鉱とよく似ています。炭鉱労働者の失業対策ではなくて、後の事業、緊急○○事業とか、特別○○事業とかありますね。若い人はご存知ないかも知りませんが、炭鉱で大量失業者をなんとかしないといけないということで、今度映画になるのですね、いわきの東洋のハワイといって町の人みながフラダンサーになって踊るとかいうあれもそうですが、要するにこういう考え方ですね。炭鉱が閉山されて労働者が首切られて路頭に迷っているという姿は、学校にいけない子どもが出るかもしれないし、自暴自棄になってお父さんが酒で暴れてだめになるかもしれない。また、この町におること自体が恥ずかしく、貧乏人の町やといって差別されるかもしれない。この失業者が出るということは町が荒廃するということですね。失業者を支援することは、町の荒廃から立ち直ろうということですね。この失業者に対して、ここに一つの媒体、このときは官でしたが、官が入って、あるいは雇用保険の事業者が入って、雇用保険からお金を投入する。官の仕事は皆さんなかなか合意しにくいですから雇用保険で、失業対策としてお金を配るのもいいけれど、町にお金を投下しようではないかというやり方をして、事業を起こし、その事業は掃除をするとか、園芸をするとか、いわき市のようにハワイを作ろうとか、こういうことを通して、この失業者をここに一旦吸収して特就とか、勤就とか言われてやって、そして再びトレーニングして、新たな町に発展させて行く、こういう考え方ですね。こういう考え方は、日本の炭鉱対策として間違っていなかったのですが、例えば、私が知っているとこでは八尾にありますが、雇用促進住宅を建てて炭鉱離職者が大阪に働きに行くようにしてあげるところまでガイドヘルプする?こういう事業をやってきたのです。これは非常に正しいのですが、何が間違ったかというと、その失対事業で永遠に働き続ける人がいて、それが間違だったかなと思います。つまりエル・チャレンジであればエル・チャレンジにズッーといるみたいになって、それはだめです。授産施設や作業所にズッーといるのと同じです。“一時的通過施設”ということが出来なくて、失敗したのです。ズッーといるから、繋ぎに公的な金を突っ込むしかないということで破産するのです。これが日本の社会事業です。それに替わるのが、イギリス的発想の媒介的労働市場会社で、媒介的労働市場会社というのは、おおいに研究に値すると思います。ソーシャル・ファームと、もう一つのソーシャル・ファームの意味で勉強になるのではないかと思います。
1.イギリス視察
 ■ ブロムリーバイボウセンター
 ■ グリーンワークス&ファーストフルーツ
 ■ コイン・ストリート・コミュニティー・ビルダーズ
 ■ ソーシャル・ファームUK
2.イタリア視察
 ■ バーチャル・コープ
 ■ ピアッツア・グランデ
 ■ コーパップス
 ■ バンカ・ポポラーレ・エティカ
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